地上波の番組は、4Kテレビでも4Kの画質で見れません

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勘違いをしている方が多いですが、

4Kのテレビで地上波放送を見ても4Kの画質では見れません

 

「知ってるよ。専用のチューナーが欲しいんでしょ?」という声が聞こえてきそうですね。

たしかに、チューナーを内臓していないテレビでは4Kを楽しむことができません。

 

しかしたとえチューナーがあったとしても、地上波のテレビ番組は4Kの画質で見ることができないのです。

 

なぜなら、そもそも地上波のテレビは4K非対応だからです。

詳しく説明していきましょう。

 

4Kテレビは地上波を4Kの画質で見れない

地上波の正しい意味は地上局からサテライトを通じて各家庭に送られる電波のことです。

 

しかしこのブログでは分かりやすさを重視したいと思い、一般的に使われている地上波のテレビ番組のことを地上波と呼ぶことにします。

★地上波テレビ番組の例・・・NHK総合・NHK Eテレ・日テレ・テレビ朝日・TBS・フジテレビなど

 

4Kテレビ・8Kテレビという言葉を耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか。

家電量販店のスタッフさんに聞いたところ、今は40インチ以上のテレビはほとんどが4Kテレビだそうです。

 

それだけよく聞くんだし、4Kテレビってめちゃめちゃ画質がいいって思いますよね。

しかしそれは大きな間違い。

4Kテレビだからって画質が良いわけではありません。

なぜなら4Kに対応したテレビ番組がやっていないから。

 

順番に説明していきましょう。

 

2018年8月現在、4Kの画質が楽しめるのは、

・一部の衛星放送(124/128度CS)

・ケーブルテレビ

・IPTV(ネットTV等)

・4K対応のカメラやスマホで撮った映像

これだけです

 

そして2018年の12月1日に

・BS

・110度CS

の4K放送が始まります。

 

そして大事なのは

・地上波のテレビ番組は4K放送に対応していない

・今後も4K放送に対応する予定はない

という点です。

 

対応していないとはつまり、

4Kテレビで地上波を見てもフルハイビジョンの画質しか楽しめないということ。

 

「めっちゃ高画質でテレビを見たい」という人が4Kテレビを買っても、実は「今まで使っていたテレビと全く同じ画質だった」なんてことにもなるんです。

 

もちろん地上波を見れないワケではありません。

画質が4Kにならないだけで、普通にテレビは見れますのでご安心を。

 

なんで4Kテレビなのに4Kが見れないの?

テレビは4Kに対応していても、放送局が4Kのデータを送ってこないから4Kの番組を見ることができないのです。

 

日本の各地には「放送局」という施設があります。

放送局は家庭に電波を飛ばし、それをテレビ(正しくはアンテナ)が受信することによって、テレビ番組を見ることができます。

放送局が4K用の電波を飛ばしてくれれば4Kの放送を見ることができるのですが、放送局は4K用の電波を飛ばしてくれないんです。

 

4K用の電波を飛ばすには問題がたくさんあり、

・4Kの電波は容量が重すぎるので今までとは違う圧縮方式を使わなければいけない

・地上波が4K放送になると、今まで使っていたフルハイビジョンのテレビが見れなくなる

などなど。

 

総務省は4K・8K推進のためのロードマップというモノを出し、「少なくとも2025年までは地上波は4K放送しないよ」と断言しているのです。

 

 

4Kとは?画質・解像度について詳しく説明

地上波を4Kで見れないと画質が悪いの?

そもそも4Kってなに?

といった疑問に答えていきます。

 

画質をランク付けするのであれば、

8K

→4K

→フルハイビジョン(フルHD・2K)

→ハイビジョン(HD)

となり、8Kがもっとも高解像度(高画質)ということになります。

 

8K・4K・フルHD・HDとは解像度のあだ名みたいなものです。

8K : 7680×4320

4K : 3840×2160

フルHD : 1920×1080

HD : 1280×720

どれも横16 : 縦9の比率です。

解像度が高い(数字が大きい)方が、より細かい色を表現できるので画質が良いのです。

 

ちなみに2011年に終了したアナログ放送は640×480の解像度であり、横と縦の比率が4 : 3でした。

アナログ放送が終了したのは使いすぎていた電波をスッキリ軽くするためだったのですが、それに伴って縦と横の比率が変わったので、テレビの物理的なサイズも変わったんですね。

ブラウン管テレビはもうちょっと縦に長く、ずんぐりしていましたよね。。

 

 

知っておきたいのは、地上波はすべてフルHDの解像度であるいうこと。

放送局が飛ばす電波が、すでにフルHDの解像度なのです。

8Kテレビで見ても、4Kテレビで見ても、フルハイビジョンのテレビで見ても、地上波はフルHDの解像度で映ります。

当然どんなに良いテレビを持っていてもフルHD以上の画質は受信できないのです。そもそも4Kの電波が家に来ていないんだから。

 

これは今の仕組みでは仕方がないことです。

 

4Kテレビだから綺麗な映像が見れるだろうと錯覚しがちですが、普通に地上波の番組を見るのであれば、4Kテレビでも一般的なテレビでも同じ画質であるということを頭に入れておくと良いでしょう。

 

注意:本ブログでは「解像度」と「画質」を同じ意味で使っていますが、本来は意味が異なります。

 

4Kテレビの恩恵はどこで受けれるの?

ここまでの説明で、4Kテレビを使っても地上波は4Kの画質で見れないということが分かりました。

 

それでは逆に、どんな映像なら4Kで見れるのでしょうか?

答えは次の通りです。

 

・4Kカメラで撮った写真や動画

・YouTube

・その他ネットTV

・BS

・CS

※BSとCSは、2018年12月から多くのチャンネルが4Kに対応します

 

★4Kカメラで撮った写真や動画

4Kの解像度で撮影ができるカメラスマートフォンがあります。

それらを使って写真や動画を撮って、4Kテレビに繋いで見る。

そうすれば4Kの高画質な映像を楽しめます。

4Kで撮って4Kで見る。いたってシンプルで分かりやすいですね。

 

★YouTube

YouTubeも4Kに対応しています。

ただし、動画をアップロードする人が4Kで撮り動画を見る人も4Kに対応しているテレビ(ディスプレイ)で見る必要があります。

動画自体が4Kでアップされても、フルHDの解像度しかないテレビやスマホで見たらその映像はフルHDの画質となります。

 

さらに注意したいのは、YouTubeはインターネットを経由して映像を見るということ。

単純に考えて4Kの映像はフルHDの映像よりも4倍ほど容量が大きいので、ネットがめちゃめちゃ重くなります。

wi-fiに繋いでいても、フルHDの動画ですら重いと感じる方は多いでしょう。

それが4倍の重さになると考えたらとても見れたもんじゃありません。

 

設定にもよりますが、YouTubeは見ている人のネット環境に合わせて自動で解像度を調整しています。

動画視聴中に画質が悪くなったと思ったら、それはYouTubeが自動で「ここのネット重いから解像度下げよう」といった感じで調整されるのです。

そんな事情もあり、仮にYouTubeの全ての映像が4Kに対応しても、実際ほとんどの人はフルHDの画質で見るのが限界でしょう。

 

★その他ネットTV

YouTube以外にも、4Kに対応しているネットテレビ番組はたくさんあります。

Amazonプライムビデオ・Netflix(ネットフリックス)・dTVなどなど、さまざまなサービスが対応しています。

 

4Kテレビを使えば、これらの映像を4Kで見ることができるのです。

ただし注意したいのは、YouTubeと同じく、ネットTVはインターネット経由の映像であるという点です。

 

4Kテレビに繋ごうが何しようが、結局はインターネットを経由して、家庭のwi-fiを通して映像を見ることになります。

つまり、4Kの映像だとネットが重すぎてロクに見れたもんじゃないとなる可能性が非常に高いのです。

こればかりは回線の問題なので個人でどうにかできるものではありませんね。

 

★BS・ CS

2018年12月より、衛星放送であるBSとCSの多くの番組が4K放送に対応します。

4Kテレビを買う一番のメリットはココでしょう。

 

2020年には東京オリンピッックが開催されます。

それらの競技のほとんどはBSでも放送されるので、4Kテレビがあればオリンピックの映像を超高画質で見ることができるのです。

 

ただしここにも大きな落とし穴が。

BSの番組を4Kで見るには、4Kに対応したテレビだけでなく専用のチューナー専用のアンテナが必要なのです。

 

ここで言うチューナーは、テレビ用の電波を受信するための機械のことで、これには色々な種類があります。

簡単に言ってしまうと、現在販売している物の多くはCSだけを4Kで見れるチューナーです(2018年7月現在)

BS放送を4Kで見るには別途チューナーが必要になります。

 

チューナー内蔵のテレビもあるのですが、CSしか見れないチューナーが内蔵されている場合は、BS放送を4Kで見るためにチューナーを買わなければいけません。

 

さらに、4Kに対応したアンテナも必要です。

BS・CSを見るには専用のアンテナが必要というのはご存知の方も多いかもしれません。

それと同じように、BS・CSを4Kで見るためにも専用のアンテナが必要なのです。

今までBSやCSが見れていた方でも、4Kで見るためにはアンテナを変えなければいけません。

 

▽詳しくはここをご参照ください

実は身近なBS 4K。開始まで半年「新4K8K衛星放送」の注意点

 

さてさてお分かりいただけたでしょうか。

4Kを見るために必要なモノをまとめると

・4Kが見れるテレビ

・4Kの映像を受信できるチューナー

・4Kの電波をキャッチできるアンテナ

・4Kの映像を送ってくれる衛星(地上波は4K映像に対応していない)

となります。

 

地上波はそもそも4Kの映像が送られてこないため絶対に4Kが見れませんし、BSやCSで4Kの番組を見るのもかなりメンドくさいと感じるかと思います。

 

 

なんで4Kテレビが人気なの?

正直なところ、僕もこの事実を知ってかなり驚きました。

「4Kと称しているんだから高画質に決まっている」

無意識にこう思っていたのが、まさか間違いだったなんて。

 

それではなぜこのような間違った認識をしてしまったのか、そしてなぜ4Kテレビは人気なのかを書いていきたいと思います。

 

「4Kテレビは高画質だ」という認識は、家電量販店のウソのようなものです。

 

テレビを作っている会社も、それを売っている家電量販店も、当然いっぱいテレビを売りたがっています。

そこで彼らは色々なプロモーションをおこない「4Kは高画質なテレビだ」というイメージを広めました。

 

もちろんテレビ本体は4Kに対応しているのでウソはついていません

しかし誰も「地上波は4Kの画質で見れない」という事実を広めてくれません。

その事実が世間に広まったら、「普段は地上波しか見ないから4Kテレビはいらない」と気づく消費者が増え、テレビが売れなくなってしまうからですね。

 

メーカーの努力もあって、4Kテレビは高画質で良いテレビというイメージがすっかり浸透しました。

おかげで4Kと名の付くテレビよく売れており、今や人気のテレビランキングでも4Kテレビがほとんどとなっています。

 

4Kテレビの必要性は?解像度以外のメリットも

4Kテレビのメリットは、解像度以外のところにもあります。

 

有機ELテレビであれば画面の余計な発光を抑えられるので「深い黒」が表現できます。

HDR(ハイダイナミックレンジ)に対応したテレビなら、輝度の表現幅が広くてよりリアルに近い映像を見ることができます。

 

ダイナミックサウンドと称して迫力のある音を出せるテレビもあれば、

Androidを搭載していてテレビだけあればインターネットの動画が見れるものなんかもあります。

 

メーカーによって優れている点が違っているので一概には言えませんが、時代とともに技術は進歩しています。

そのためたとえ解像度が同じだったとしても、ディスプレイの性能が向上していて「なんか綺麗に見える」ようになっているんです。

 

まとめ

繰り返しになりますが、4Kテレビで地上波の番組を見てもそれは4Kの画質ではありませんし、今後も当分の間は4Kの画質で地上波が見れるようにはなりません

 

2018年の12月から4K放送が本格的に始まります。

しかしそれはBS・CSだけの話であり、さらにBS・CSを4Kの画質で見るには専用のアンテナとチューナーが必要です。

 

そんな状態なので、4Kテレビを買ったとしても多くの方は4K映像を見れません。

とは言え映像技術は日に日に進歩しているため、新しいテレビを買えば解像度以外のメリットを感じることができるでしょう。

 

くれぐれも、4Kテレビという言葉に流されないようお気をつけください。